アデランス×Spiber 新毛髪素材の共同研究開発をスタート 構造タンパク質を活用した新たな取り組み

2019-4-14

〜人毛でも化繊毛でもない、「新たな選択肢」で持続可能な社会を目指す〜

株式会社アデランス

毛髪・美容・健康のウェルネス産業の株式会社アデランス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 津村 佳宏 以下「アデランス」)と構造タンパク質素材の産業化に取り組むSpiber株式会社(本社:山形県鶴岡市、取締役兼代表執行役:関山 和秀 以下「Spiber」)は、Spiberが独自開発する構造タンパク質を活用した新毛髪素材の共同研究開発に着手しました。

アデランスは、世界19の国と地域でグローバルに総合毛髪事業を展開しています。世界中の人々の髪の悩みに応えるべく、持続可能な毛髪素材の探求を続けてきました。1983年からは、将来的に入手が困難になることが懸念される人毛に替わる人工毛髪の研究をスタートし、化学繊維を用いて天然の人毛に近づけた人工毛髪を生み出しました。しかし、原料となる石油も限りある資源であり、今後100年を見据え、枯渇資源に依存しない新たな選択肢となる毛髪素材研究の必要性を感じ、Spiberとの共同研究開発に着手することを決定いたしました。

Spiberでは、地球規模の課題解決に貢献すべく、持続可能な次世代の基幹材料として注目される構造タンパク質の産業化に取り組んできました。植物資源をベースに発酵プロセスで生産される構造タンパク質は、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維のように主な原料を石油に頼ることなく、繊維やフィルム、樹脂など多種多様な素材への加工が可能なため、今後様々な産業分野での展開が期待されています。

両社は、「構造タンパク質素材の活用」という点で気持ちを一つにしただけでなく真の意味での人の幸せ、喜びに少しでも貢献したいと願う互いの姿に強く共感し、今回の共同研究開発に至りました。

共同研究開発では、Spiberが持つ構造タンパク質繊維技術と、アデランスが長年培ってきた総合毛髪開発力を組み合わせることで、新たな毛髪素材の創出を進めて参ります。Spiberでは、独自の技術を用いて毛髪としての特性を満たすタンパク質を遺伝子レベルで設計し、微生物を用いた発酵プロセスにより原料となる構造タンパク質を取得します。さらに、当該構造タンパク質を毛髪素材に最適な形状や物性となるように加工するための新たな繊維化技術の開発、製造条件の検討を進める計画です。アデランスでは、これまでの毛髪開発の知見を基に、得られた構造タンパク質繊維に対して毛髪のような風合いや特徴を付与するための加工や染色、カール付けなどを行い、製品としての評価を進めます。既に、基礎特性や各工程に関する研究は昨年より開始しており、関連特許も4件出願しています。引き続き両社の技術と知見を集結し、2年後の商品化を目指します。

共同研究開発中の毛髪サンプル

Spiberが開発を行う構造タンパク質
タンパク質は20種類のアミノ酸が任意の長さ・並び方で直鎖状に繋がった生体高分子であり、生命体を構成するもっとも重要な材料のひとつです。ほぼ無限に存在するアミノ酸の組み合わせパターンから様々な機能や特性を持ったタンパク質が進化の過程で生み出され、複雑で多様な生命システムを支えています。タンパク質には酵素や抗体のように生理的な役割を果たすものと、細胞骨格やクモの糸のように構造的な役割を果たすものがあり、後者は一般的に「構造タンパク質」と呼ばれています。毛や爪などを構成する「ケラチン」や、骨、皮膚などを構成する「コラーゲン」も構造タンパク質のひとつと言えます。

Spiberが独自に開発を行う構造タンパク質は、ほぼ無限の組み合わせの中から目的に応じてデザイン・選抜され、微生物による発酵プロセスで生産されます。本素材は、化学繊維のように主な原料を石油に頼ることなく、Spiber独自の技術によって多種多様な特性や形態の材料を設計することが可能です。

アデランスの人工毛髪への取り組み
多くのオーダーメイド・ウィッグには人毛が使われています。当社では、安定的にウィッグ商品を提供するため、将来的に入手困難になることが懸念される人毛に替わる人工毛髪の研究を1983年よりスタートしました。1987年に人毛のキューティクルに代わるものとして、高分子材料の特性を生かした球晶による疑似キューティクルを表面に形成させ、色あせがなく、スタイル保持性に優れた人工毛髪の開発に成功。1991年より「サイバーヘア」の名称で商品化し、発売を開始しました。

さらに、雨や洗髪など、また空気中の水分で変化する天然毛髪の風合いを表現できる「バイタルヘア®」(特許第5127443号/女性向けにはナチュールヘア®の名称で使用)の開発にも成功し、2006年より商品化しています。

人工毛髪の材料はポリアミドですが、塩ビを使用しないことで、焼却しても汚染物質の発生しにくい原材料構成となっており、環境への優しさにも配慮しております。

■株式会社アデランスについて
アデランスグループは1968年創業以来、トータルヘアソリューション(総合毛髪関連)事業のリーディングカンパニーとして、「世界中の人々を笑顔にする」という経営理念のもと、「最高の商品」「最高の技術と知識」「心からのおもてなし」の提供につとめています。男性向け「ADERANS」、女性向け「レディスアデランス」、「FONTAINE」、毛髪移植(ヘアトランスプラント)「BOSLEY」、男性・女性向けヘアシステム「HAIRCLUB」の5つのブランドを核に、ウィッグの製造販売、育毛・増毛サービス、ヘアトランスプラント事業など、高品質な商品・サービスをグローバルに展開しています。

設立      :1969年3月
所在地     :東京都新宿区新宿一丁目6番3号
代表取締役社長 :津村 佳宏

■Spiber株式会社について
Spiberは、持続可能な次世代の基幹材料として期待されるタンパク質素材の産業化を目指して、2007年に設立されたスタートアップです。創業者である関山和秀と菅原潤一が2004年から慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)で取り組みはじめたクモ糸人工合成の研究成果を活用し、独自の構造タンパク質素材「QMONOS®」を開発、世界に先駆けて量産技術の確立に成功しました。本素材は、化学繊維のように主な原料を石油に頼ることなく、Spiber独自の技術によって多種多様な特性や形態の材料を設計することが可能です。今後アパレルや自動車分野などの展開を見込み、構造タンパク質の本格的な量産化に向け、タイ国に大規模な発酵プラントを建設し、2021年の商業生産を目指しています。

設立          :2007年9月
所在地         :山形県鶴岡市覚岸寺字水上234-1
取締役兼代表執行役   :関山 和秀

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